026_o[1]
三菱自動車工業は、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を2018年3月に発売することを発表。12月8日にエクリプス クロス(プロトタイプ)試乗会を開催し、その会場で概要の説明が行なわれた。試乗インプレッションについては別記事で紹介するが、本稿では三菱自動車工業 商品戦略本部 CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の林祐一郎氏によるプレゼンテーションの内容を紹介する。

 エクリプス クロスは3月のジュネーブショーで世界初公開。車名のエクリプス クロスはクーペライクなSUVであることから、1989年より米国で販売していたスペシャリティクーペの「エクリプス」と、クロスオーバーの略である「クロス」を組み合わせたものになる。岡崎製作所(愛知県岡崎市)で生産され、欧州向け量産車の出荷を10月3日から開始。欧州、豪州、北米、日本など約80カ国へ展開される計画で、今年度の出荷は約5万台を予定する...

続きを読む
ニュース 三菱自動車、新型SUV「エクリプス クロス」を2018年3月発売。概要説明会レポート ポイントは「デザイン性」「コネクティビティ」「ドライビングフィール」の3点 編集部:小林 隆Photo:安田 剛 2017年12月8日 22:40 2018年3月 発売 エクリプス クロス(プロトタイプ)  三菱自動車工業は、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を2018年3月に発売することを発表。12月8日にエクリプス クロス(プロトタイプ)試乗会を開催し、その会場で概要の説明が行なわれた。試乗インプレッションについては別記事で紹介するが、本稿では三菱自動車工業 商品戦略本部 CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の林祐一郎氏によるプレゼンテーションの内容を紹介する。  エクリプス クロスは3月のジュネーブショーで世界初公開。車名のエクリプス クロスはクーペライクなSUVであることから、1989年より米国で販売していたスペシャリティクーペの「エクリプス」と、クロスオーバーの略である「クロス」を組み合わせたものになる。岡崎製作所(愛知県岡崎市)で生産され、欧州向け量産車の出荷を10月3日から開始。欧州、豪州、北米、日本など約80カ国へ展開される計画で、今年度の出荷は約5万台を予定する。  シャシーは「アウトランダー」と共用となり、ホイールベースは2670mm。ボディサイズはオーバーハングを削ることで現行アウトランダー PHEVよりも290mm短く、5mm広く、25mm低い4405×1805×1685mm(全長×全幅×全高)とした。  パワートレーンは、新開発の1.5リッター直噴ターボ「4B40」エンジンと8速スポーツモード付CVTの組み合わせと、専用開発の2.2リッターディーゼルターボと新開発の8速ATの組み合わせを設定しているが、今回の試乗会で公開されたのは4WD仕様のガソリンモデルのみ。この4WDモデルでは、走行状況や路面状態により後輪へ伝達するトルクを常に適切に配分する電子制御4WDを組み合わせるとともに、AYC(Active Yaw Control)ブレーキ制御を追加した車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を採用することで本格的な走破性を手に入れている。 訴求ポイントは「デザイン性」「コネクティビティ」「ドライビングフィール」 三菱自動車工業株式会社 商品戦略本部 CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の林祐一郎氏  プレゼンテーションを行なった林氏はまず、SUV市場全体の話について触れ、世界的にSUVセグメントの販売台数が増加していること、そのなかでもコンパクトSUVセグメントが急速に拡大していること、コンパクトSUVセグメントのモデルに求められるニーズがアウトドアシーンでの使用が減少し、代わりに「スタイル・外観」「車体色」「安全性」などが購入重視点になっていることが述べられた。  こうしたニーズに対する三菱自動車の回答が今回のエクリプス クロスであり、これまで同社が磨きをかけてきた「SUVとしての基本性能の高さ」「S-AWCに代表される優れた走行性能」をベースに「スタイリッシュクーペの世界観」を付与したという。  商品の訴求ポイントは、スポーティでアグレッシブな外観や高彩度レッド塗装、高揚感を刺激するコクピットのような運転席からなる「デザイン性」、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ、人間工学に基づく操作しやすいタッチパッドコントローラー、先進的なカラーヘッドアップディスプレイからなる「コネクティビティ」、安定した走りを実現するS-AWC、ぶれなくスムーズな操縦をもたらす引き締められたハンドリング性能、高効率な新開発パワートレーンなどからなる「ドライビングフィール」の3点。  デザインについて、まずエクステリアではウェッジ基調のシャープでスポーティなクーペデザインのアッパーボディと、マッシブでダイナミックなロアボディを融合させた新しいデザインを採用。そのデザインを引き立てるカラーとして、光を受けるハイライト面では鮮やかで硬質な輝きを放ち、陰になるシェード面では艶やかな深みを持たせた多コート重ね塗りの特別塗装色「レッド ダイヤモンド」を新たに設定しており、林氏は「非常に特殊な塗装プロセスを採り入れており、下の面に強い輝きを放つメタリック層を塗装し、そのうえに半透明の赤を塗るという塗装工程を経ることで非常に深みのある輝度の高い赤を実現している」と説明する。  インテリアでは「パジェロ」「デリカ」でも採用する、広い前方視界や車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調のインストルメントパネルに仕上げるとともに、存在感を高める金属フレームなどを採用。「こうしたデザイン面のみならず工夫を施したポイントの1つ」(林氏)として挙げられたのが後席についてで、後席では200mmのシートスライドと16~32度(9ポジション)の範囲でリクライニングを可能にしており、「これによってルーフが下がってくるクーペフォルムでありながら、後席の居住性と荷室容量をフレキシブルに使えるようにした」という。また、ラゲッジスペースについては後席最後端から60mm前方にすることでゴルフバッグ(9インチ)4個を、後席最後端でも3個積載可能であることのほか、サイドガーニッシュをドア側に移すことで乗降性を高めているなどがアピールされた。 エクリプス クロスではSUVとしての機能は損なわず、都市で際立つデザインが与えられた デザインコンセプトは「VIBRANT&DEFIANT」(躍動、そして挑戦) 特別塗装色「レッド ダイヤモンド」の特徴 インテリアではHORIZONTAL AXISデザインを採用 後席の配慮/工夫点 ラゲッジスペースではゴルフバッグ(9インチ)4個を積載可能 サイドガーニッシュをドア側に移すことで乗降性を高めた  2点目の訴求ポイントである「コネクティビティ」については、スマートフォン連携ディスプレイオーディオを採用したことを紹介。これは手持ちのスマートフォンをUSB接続することで、Apple CarPlayやAndroid Autoといったさまざまな機能をステアリングスイッチのボイスコントロールやシフトレバー横にレイアウトされるタッチパッドコントローラーで操作ができるというもの。タッチパッドコントローラーについては、「Apple CarPlayのタッチパッド操作はエクリプス クロスが世界で初めて実現した機能」としており、フリック操作や2本指で上下に動かすことでオーディオのボリュームを上げ下げできることなどが紹介された。  また、エクリプス クロスでは同社初採用となるカラーヘッドアップディスプレイを装備し、車速、シフトインジケータ(パドル操作時のみ)、ナビ矢印情報などとともに、シートベルトリマインダ、半ドア警告、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、誤発進抑制などの警報情報を表示できるという。 スマートフォン連携ディスプレイオーディオを採用 タッチパッドコントローラーについて カラーヘッドアップディスプレイを三菱自動車として初採用 カラーヘッドアップディスプレイの表示項目  3点目の「ドライビングフィール」では、あらゆる路面で不安なく安定した走りを実現するべく、最適な地上高・アングル(アプローチアングル20.3度、最低地上高175mm、ディパーチャーアングル30.8度)とS-AWC(4WD車)を採用したことを説明。S-AWCでは、あらゆる路面で最適な4WD性能を実現する「AUTO」、雪上での走行に適した「SNOW」、4WDでの高い走破性を発揮する「GRAVEL」という3つの走行モードを備えているとし、「S-AWCはランサーエボリューションXから採用しましたが、開発思想としては当初からエボXだけでなく三菱自動車の4WDモデルには広く採用していくという考えがあり、それが徐々にアウトランダーに広がっていき、今回のエクリプス クロスでは4WD車には全車標準装備しました」とアピール。  ボディについては、優れた乗り心地と操縦安定性を実現するため、3点留めのストラットタワーバーやアッパーフレームブレースといったボディ剛性を高める強化パーツを採用。さらにドアやテールゲート開口部、リアホイールハウスを中心に構造用接着剤を採用し、ボディ部品同士の結合剛性の強化が図られている。  一方、最高出力120kW/5500rpm、最大トルク250Nm/1800-4500rpmを発生する新開発の1.5リッター直噴ターボ「4B40」エンジンについては、「従来の自然吸気の2.0リッターエンジンや2.4リッターエンジンと比べ、非常に低い回転数から大きなトルクが立ち上がるということで、非常にパワフルな加速性能が楽しめます。昔のGDI(ガソリン・ダイレクト・インジェクション)と違い、リーンバーンを廃止してストイキ燃焼とし、さらに1気筒あたり2つのインジェクターがあるデュアルインジェクションを採用し、状況によって使い分けることで最適な制御を行なっています」とし、品質の確保にあたっては延べ走行距離280万km、地球70周分という試験確認を行なっていることが報告されている。 地上高・アングルなどについて S-AWCで用意される走行モードは3種類 エクリプス クロスで採用したS-AWCの特徴点 3点留めのストラットタワーバーやアッパーフレームブレースといったボディ剛性を高める強化パーツを採用 ドアやテールゲート開口部、リアホイールハウスを中心に構造用接着剤を採用 アウトランダーのサスペンションをベースに主に5項目を改良 新開発の1.5リッター直噴ターボ「4B40」エンジンについて 昔のGDIと違い、リーンバーンを廃止してストイキ燃焼とし、さらに1気筒あたり2つのインジェクターがあるデュアルインジェクションを採用 CVTではステップアップシフト制御を採用  そのほか衝突被害軽減ブレーキ(FCM)、車線逸脱警報システム(LDW)、誤発進抑制システム(前進&後退)などからなる予防安全技術「ACTIVE SMART SAFETY」を国内向けのモデルには標準装備すること、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、リヤクロストラフィックアラート(RCTA)、ブラインドスポットウォーニング(BSW)、オートハイビーム、マルチアラウンドモニターからなる予防安全技術「SMART DRIVING ASSIST」を採用することが語られるとともに、日本国内では2018年3月に発表・発売する計画であることを明らかにした。 予防安全技術「ACTIVE SMART SAFETY」 予防安全技術「SMART DRIVING ASSIST」 日本国内では2018年3月に発表・発売